66.時間の教育
2025年06月17日 15:55
年少の息子が、「10分待ってね」とか「1時間後に迎えに来てね」といった言葉を使うようになってきました。
もちろん、本人が1秒と1分の違いを理解しているわけではありません。1時間がどれくらい長いのかも、正確にはわかっていないはずです。
それでも、そうした時間の単位を含む言葉が、日常会話の中で出てくるようになってきたというのは、ひとつの大きな変化だと感じています。
私は、こういう言葉は「わかるようになってから使うもの」ではなく、「わからなくても日常の中で使っていくもの」だと考えています。時間の感覚というのは、教科書の知識として学ぶ前に、まず体で覚えるものだと思うからです。
例えば、「あと10分で出かけるよ」と言い続けることで、繰り返しの中から「10分」という時間のまとまりに対する感覚が少しずつ育っていく。
それが積み重なっていけば、「1分は60秒」「1時間は60分」という抽象的な知識も、実感をともなって理解できるようになると思っています。
言葉を教えるときも同じでした。赤ちゃんのとき、意味はわからなくても私たちは日々声をかけ続けましたよね。
時間も、数字も、概念も、そうやって自然に触れる中で少しずつ身につけていくものです。
これは、数学を「言語」として身につける第一歩でもあると私は思っています。
「まだわかっていないから」と伝えるのをやめるのではなく、「わからなくても繰り返し伝えること」が、理解への一番の近道なのかもしれません。