65.こっちのけんと氏と母親の関係性
2025年06月17日 15:55
テレビでこんなニュースが話題になっていました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/5a9b1344da1bb83514f436ab269edbe88ae8f404
「幼いころ、活発な性格の将暉さんと新樹さんに対し、けんとさんは室内で過ごすことが多かったそうです。ただ、好美さんは『どうして走り回って遊ばないんだろう?』と、つい兄弟を比べてしまい、次第にけんとさんと距離ができてしまった時期があったと告白。
小学校の保護者による懇談会で、母親同士で子どもたちのいいところを褒め合う場面があったそうですが、『けんとのいいところが、何ひとつ思い浮かばない自分がいた。情けなくて泣いてしまった』と、振り返っていました。
親子関係を修復するため、けんとさんが中学校に入ってから3年間、毎日、息子さんの弁当に手紙を入れてコミュニケーションを取り、理解を深めていったそうです」
正直、ドン引きです。
子どもにとって、親は一番の味方であってほしい存在です。
その親から「あなたはそのままでいい」と認められることは、自己肯定感の土台になります。
しかし、もし親から「まだ足りない」「こうでなければ」と否定され続ければ、子どもは自分自身を信じられなくなってしまいます。
他人の評価に左右され、自分を見失いがちになるのです。
もちろん、どの親にもわが子への愛情はあるはずです。
ただし、その愛情のかけ方には“質”の違いがあります。
愛情があれば何をしてもいいわけではありません。
押しつけや過干渉になってしまえば、たとえそれが善意から出たものであっても、子どもは息苦しさや反発を感じるものです。
「子どもはこうあるべき」「自分ができなかったことを、子どもには叶えてほしい」
そうした親の理想や願望が、知らず知らずのうちにプレッシャーとなって子どもを縛っていることもあります。
たとえ親子であっても、価値観や感じ方は異なる“別の人間”です。
だからこそ、自分の基準を子どもに当てはめるのではなく、ひとりの人格として尊重する視点が必要です。
子どもは親の鏡ではなく、親の人生の続きでもありません。
自分のコンプレックスや未練を子どもに託すのは、子ども自身の人生の可能性を狭めてしまう行為です。
こうした“切り分け”や“距離感”をうまく保てている人は、子どもとの関係が自然で、温かいものになっているように思います。
「あなたの人生を応援している。でもそれは、私の願望を叶えるためじゃない」
そんなスタンスこそ、親子の信頼関係を深めていく鍵なのではないでしょうか。
そもそも、子どもという存在は、親の願いや都合の中でこの世に生まれてきます。
ある意味、親のエゴの延長線上にある存在ともいえます。
だからこそ、親は“育ててあげている”のではなく、“育てる責任を引き受けた”という視点を持つことが大切です。
子どもを一人の人間として認め、尊重する。
それが、親にできる最も深い愛情の形ではないでしょうか。
僕は、今までに数百人の子どもたちと関わってきました。
その中で確信しているのは、子どもが健やかに育っていくためには、ある順番が必要だということです。
まずは、親からの無償の愛と承認。
その体験が、子ども自身の「自分を認める力(自己肯定感)」につながり、
その土台のうえにはじめて、他人を思いやる力や優しさが育っていくのです。
愛されて育った子は、自然と人に優しくできます。
でも、親から十分に認められずに育った子は、自分を守ることで精一杯で、なかなか他人に心を向けられない。
どの子が今、どの段階にいるのか。
ほんの少し接してみるだけで、正直なところ、僕にはすぐに分かります。
その子の発言や表情、ちょっとした態度から、「今、この子は満たされているか」「まだ何かを渇望しているか」が伝わってくるのです。
だからこそ、親ができることはとてもシンプルで、しかしとても大切です。
まずは、「あなたはそのままで大丈夫だよ」と、無条件に伝えること。
子どもは、そこから人生を始めていくのだと思います。
なんだか長くなってしまいました。